【庭園の中で】
この庭園の造りは、掛軸によく見られる中国で発達した山水画を参考にしているものと思われます。
この地域の庭園の特色は、外塀の代わりにイヌマキを植え波状に大きく刈り込んで、それを背景にその手前に石組みによる庭が造られています。
また、この庭園は、庭園の一番奥に石を高く積み上げ、イヌマキと同じように左右を徐々に低くし、遠近の方法で石組みによって遠くの山や岩、滝、川といったものを表現し、最後は大海に見たてた庭園流れ込むという手法をとっていますが、こういう石組みによる方法を枯れ山水といいます。
こういう門からの入り方やイヌマキの刈りこみ方、石組みの方法などは、この薩摩地方特有のものだそうです。
石組みの所々に置き灯篭や層塔が立っておりますが、琉球によく見られる手法です。
このような作庭は、室町時代の中期に、禅宗の書院などに小庭様式として成立したといわれています。